Page 25 - 第4部応用事例編ver60_Neat
P. 25
ICカードアンテナ周辺回路構成 A図 シミュレーション回路 ・エミッタ回路 R24C13の動作 C図 エミッタ回路
復調データ信号の増幅 エミッタ合成インピーダンス
差動増幅回路にて復調されたデータ信号は、振幅が充分 電圧増幅度は、コレクタ抵抗とエミッ
でないのでさらに増幅する。入力信号となる抜き取られた
データは、まだスイッチングできるデジタル信号ではないの タ抵抗の比であるので、交流増幅度を
でA級増幅を回路によりスイッチングできるデジタル信号ま
で増幅を行う。 増すためにR24とC13を挿入して交流
・増幅器のバイアス 動作ではエミッタ抵抗を小さく抑え増幅
DCバイアス DC動作の最大コレクタ電流は
度を上げている。
Ic = Vcc = 10 ≒6.8[mA]
R22 + R23 1+ 0.47 エミッタの合成インピーダンスをD図
この時のエミッタ電圧は Ve = Ie × R23≒Ic × R23≒3.2[V ] に示す。1kHz周波数ではC2のコンデ
理想的な直流動作点時は、 ンサのインピーダンスが159ΩなのでR4の
100Ωが並列の効果をあらわしてきて
いる。
Zc = 1
ωC
= 2π 1 = 159[Ω]
×1×103 ×1×10−6
V = Vcc − Vcc −Ve = 10 − 10 − 3.2 = 6.6[V ] B図 直流動作点 B図 交流動作点 過渡特性 R24をR23に並列に接続
22 5.5V して交流増幅度を上げているが、C
Vcc 10V 1V の値が大きすぎるとコンデンサの直
ACバイアス 動作点 6.6V 流バイアス電圧の変化が遅くベース
Q5のコレクタ抵抗R22は、次段入力抵抗(3kΩ D図 エミッタ回路過渡特性(C13=0.1μ) 入力電圧の変化にエミッタのバイア
とする)と並列になる。 エミッタ 3.2V エミッタ電圧 ス電圧の変化が追従できなくなるの
エミッタ抵抗R23はR24と並列になるので交流動 0V で適度の大きさが望ましい。過渡特
作での最大コレクタ電流は、 C13の電圧 性をD図に示す。
Ic = Vcc = 10 ≒12[mA]
R22 // 3 + R23 // R24 1// 3 + 0.47 // 0.1
この時のエミッタ電圧は Ve≒Ic × (R23//R24 )≒1[V ] D図 エミッタ回路過渡特性(C13=1μ)
エミッタ電圧
理想的な交流動作点時は、
V≒Vcc − Vcc −Ve = 10 − 10 −1 = 5.5[V ]
22
ベースバイアス
抵抗R20とR21によりベースバイアスが設定されているのでVb
は
Vb = Vcc R21 = 10 4.7 ≒2.8[V ]
R20 + R21 12 + 4.7
ベースで設定された電圧はエミッタ電圧では
Ve = Vb − 0.6 = 2.8 − 0.6 = 2.2[V ] C13の電圧
前記ACバイアスでのエミッタ電圧は1Vであったので実際の
バイアス設定では電流が多めに流れているのでコレクタエ
ミッタ間の動作点は動作センタより低めに設定されている。
・電圧増幅度 Av≒ RC
増幅度は次式で表される。 RE
交流ではコレクタ抵抗は負荷抵抗が、エミッタ抵
抗はR23とR24がそれぞれ並列になるので
Av≒ 1// 3 ≒9
0.47 // 0.1