Page 20 - 第4部応用事例編ver60_Neat
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ICカードアンテナ周辺回路構成 アンテナ駆動トランス 整合回路 バラン B図
ブリッジ型バランの動作2 不平衡出力
060206 seigou R1
バランを接続する目的はアンテナ駆動トランスから出ている C3 C2 L1 12 1 1
出力のレベルを測定するためで、アンテナ出力が平衡出力で 平衡入力 V1 C1
計測器が50Ωの不平衡入力になっているのでそのまま接続 DC = 0 100 180p 2 L1
するだけでは測定値に誤差が生じるので、バランを使って平 AC = 1 I I
TRAN = sin(0,1v ,13.56MEG)
I 0.82uH
衡出力を50Ωの不平衡に変換するわけである。ブリッジ型 C4 2
バランを使った場合のインピーダンスの変換は、下記の式で
1 1 output
得られる。 L2 C1 L2 C2 I
I 1
Zin = (1 L )2 ⋅ r = L = L C3 2 180p R3
0.82u I
rC C ⋅r C ⋅ Z0 R2 2 50
12
L1=0.82uH C2=180P Z0=50 とすると 2
100
A図 I
Zin = 0.82 ×10−6 = 91[Ω] 0
180 ×10−12 × 50
となる。バラン動作は共振回路で構成されているが、周波数に対する各部の波形を示す。 入力インピーダンス(C図)
高周波で電圧電流の位相が変化しているのでバラン部分への入力電力と
060206 seigou
91Ω 入出力インピーダンス 13.56MHz R1電流の位相 バランに流入する電流を計って P=I2R より抵抗を計算して求めた入力イン
ピーダンス曲線をC図に示す。共振周波数付近で91Ωを示し計算値と一致
入力インピーダンス R1電流の位相 ゼロ している。
各部の電流波形ではC1及びC2に流れる電流、L1及びL2に流れる電流は同
じであるがLとCに流れる電流の大きさは反対の関係にある。これらが同じ大
きさとなった時が共振状態である。
出力インピーダンス=50Ω接続 不平衡出力電圧(D図)
バランに流れ込む電流の位相特性では、共振時に位相がゼロになっている
13.56MHz のがわかる。この状態はL成分とC成分の大きさが同じで打ち消しあいリアクタ
ンス成分がゼロになっていることを示す。
060206 seigou2 電圧レベル 不平衡出力電圧と平衡入力電圧の特性では同じ出力電圧値が得られてい
る。これは不平衡入力の計測器で読んだ値は、平衡入力端での電圧を読んで
電流 R3 各部の電流 いると同じ考えられる。
不平衡出力端の電力
前記の電圧比に対してを電力比で見たグラフを下図に示す。
共振時にはバラン入力電力と出力電力が一致している。共振時にはバランの
出力端に接続した電力はバラン入力端に入る電力と同じと考えられる。
しかし共振周波数以外ではバランの入出力電圧は同じでも入出電力では異な
るので計測器での読みは共振時でのみ有効と考えねばならない。これは共振
周波数以外では電圧電流の位相が異なっているからである。
電流 R1,R2 電流 R3 13.56MHz 060206 seigou3
電流 C1、C2 電流 R1,R2
不平衡出力端の電力
電流 C1、C2 平衡入力端の電力
C図 D図