Page 28 - 第4部応用事例編ver60_Neat
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社員教育 資料 A図 差動増幅回路 C図 差動増幅回路例
差動増幅回路(Differential amplifier circuit) +Vcc ・差動増幅器動作例
微小な直流を増幅しようとすると、温度や半導体の変動などでドリ C図に回路例を示す。
差動利得は、
フトが起こる。差動増幅回路はドリフトが少ない利点があるので、直 ic1 ic2
流増幅の特殊な回路として利用されてきたが、トランジスタ、ICなど Rc Rc Ie = V1 +V2 = 20 = 13.3[mA]
で容易に製造できるようになったのでOpampとして広く利用される R1 + R3 1.5
ようになった。 Vo1 Vo2 re = 25 = 25 = 1.9
・構成 Ie(mA) 13.3
同じ特性を持つ2つのトランジスタ増幅を一組として、二つの増幅 Vi1 ib1 Q1 Q2 ib2 Vi2 Ad≒ Rc ⋅ hfe≒ Rc
回路の出力の差を出力として取り出すような配置をする。トランジス ie1 ie2 hie re
タの入力端子には二つの増幅回路が逆相に入力信号を加える。 = 1000≒526
1.9
・出力
波形から実測してみると
両方のトランジスタのコレクタ間から出力をとりだす。よって電源電 RE Vin=0.02Vpp
圧や温度の変化などのように、両方のトランジスタに同時に変化を ie Vout=11Vpp
与えても出力は現れないのでドリフトの少ない直流増幅回路が得ら -VEE
れる。特性が同一なトランジスタペアを使用しないと両者の入力電 Ad≒ 11 = 550
圧がともにゼロであっても出力に電圧差が発生する。この電圧差を 0.02
オフセット電圧と言う。差動増幅回路の差出力電圧V0は、
Vo = Vo1 − Vo2 = Rc (Vi1 −Vi2 )hfe rb:ベース抵抗 50~500Ω 差動出力電圧波形 11Vp-p
hie re:エミッタ抵抗 PN接合の
hie≒rb + re(1+ hfe)≒re ⋅ hfe re = 25 [Ω] より 順方向微分抵抗でIeに逆
Ie(mA) 比例
Vo≒ Rc (Vi1 −Vi2 )hfe = Rc(Vi1 −Vi2 )
re ⋅ hfe re
・同相利得
差動増幅回路に二つの入力に、位相と振幅が同じ入力 +Vi1=+Vi2を加えた時の増
幅度Acを同相利得という。
Ac≒ Rc B図 差動増幅回路改良例
2RE カレントミラー
・差動利得
差動増幅回路に二つの入力に、位相だけ反転した入力 +Vi
1=ーVi2を加えた時の増幅度Adを差動利得という。
Ad≒ Rc ⋅ hfe≒ Rc
hie re
・同相信号除去比(common mode rejection ratio :CMRR)
同相利得と差動利得の比を同相信号除去比で表し充分大きいほ
うが望ましい。
CMRR = Ad ≒ 2RE
Ac re
CMRRを大きくするには、REを十分大きくする必要がある。こ
の条件を満たすためにREの代わりに定電流回路を用いる。
交流インピーダンスは、dV/dI で表される。dI=0ならば、イ
ンピーダンスは無限大となるからである。
定電流回路
・不平衡出力
差動増幅回路の出力は、不平衡出力として取り出すことが多いがその場合でも厳密に両
トランジスタのコレクタ電流を同じに合わせなければならない。またRcを大きくする方がよい
のでカレントミラー回路を用いられる。回路例を B図に示す。