Page 14 - 第4部応用事例編ver60_Neat
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非接触ICカードの通信インターフェース基本技術 A図 アンテナ駆動系統図 ・高周波回路の特性の表しかた
整合 電圧や電流波形は、進行波と反射波を合成した複雑な信号であるが、電力は、伝送線路に損失
R/Wアンテナ駆動回路系のインピーダンス整合 がなければ1本の伝送線路上のどこでも同じ値である。よって高周波回路での測定や特性は、入口
アンテナ駆動回路の出力は、 整合 と出口を出入りする電力の比で表される。
①アンテナコイルへ接続 アンテナ 同軸ケーブル アンテナコイル ・Sパラメータ S21
②計測時にはアンテナの代わりに計測器に接続 50Ω 高周波の特性は入口と出口の4つ S12
される。しかし 駆動回路 の電力で現される。 a2
平衡 ①ポート1から電力信号 a1 を入力す a1 S11 S22 ポート2
ると反射してくる信号 b1 と回路を通 ポート1
・駆動回路の出力インピーダンス → 共振状態 バ 計測器 過してポート2に現れる信号がある。 b2
・アンテナコイル → Lによるインダクタンス成分 ラ b1
・計測器 → 50Ωで不平衡入力のプローブに接続
の状態である。 ン 50Ω 不平衡
低周波では特に問題にならないがキャリア周波数の13.56MHzの周波数 整合 ② ポート2から電力信号 a2 を入力すると反射してくる信号 b2 と回路を通過してポート1に現れる信
帯では、回路間の結線が長くなると高周波として考えた信号の反射の対 号がある。
策が必要になってくる。反射をなくすと言うことは、インピーダンスの整合 このように回路に入って行く電力と、出て行く電力の及びそれぞれの反射してくる4つの電力の信号の
がとると言う事である。 B図 13.56MHzの波長 振幅と位相によって回路の特性を規定したのがSマトリクスと呼ばれ、それぞれの要素をSパラメータと
・波長の影響 +V 呼ぶ。
波長をλ「m」、光速=3*108[m/s]、周波数f[Hz]とすると
= b1 (a2 = 0) S11は、ポート2をZ0で終端してポート1に入力したときに反射して
λ = 3×108 [m] 周波数を13.56MHzとすると 0 S11 a1 戻ってくる割合(入力の反射係数)
f -V S21 = b2 (a2 = 0) S21は、ポート2をZ0で終端してポート1に入力したときにポート2に伝
0m 5.5m 11m a1 達される割合(順方向の伝達係数)
λ = 3×108 ≒22[m] 22m
13.56 ×106
S22 = b2 (a1 = 0) S22は、ポート1をZ0で終端してポート2に入力したときに反射して
周波数が13.56MHzの場合の波長をB図に示す。この図から同じ電線上を同時刻に測定すると0m a2 戻ってくる割合(出力の反射係数)
のポイントで+Vの電圧が目盛りに現れるが5.5m先のポイントでは目盛りの振れは0Vになり測定 b1 S12は、ポート1をZ0で終端してポート2に入力したときにポート1に伝
a2 達される割合(逆方向の伝達係数)
ポイントが異なると測定値が変わってしまう事になる。この状態は周波数が高くなれば致命的な問題 S12 = (a1 = 0)
となってくる。この様に線の長さが無視できなくなるとオームの法則が適用できなくなる。オームの法
則が適用できる周波数帯での回路を集中定数回路と言い、適用できない回路を分布定数回路と呼 S11は反射係数を表しているが、Sパラメータを使わない場合次式でも表されるが同じと考えられる。
ぶ。分布定数回路は高周波回路の領域であるが13.56MHz帯では分布定数回路扱いになる高周波
帯ではないがこの周波数をリード線で1m程引き回すとすると15°程位相が変化することになる。特 Γ = Zin − Zo Γ :ガンマ Zo:特性インピーダンス
Zin + Zo
にアンテナと駆動回路が離れているとか、計測器で長めのプローブを使ったり等の場合は注意が必
要である。
・反射の影響 全反射の状態 Zin>>Zo の場合 Γ=1 となる。
無反射の状態 Zin=Zo の場合 Γ=0 となる。
反射は高周波回路だけに発生するものではない。送る側のインピーダンスと受ける側のインピー
ダンスが異なると発生する。低周波やデジタル回路では、電圧信号か電流信号のいずれかだけに ・スミスチャート
インピーダンスを直交座標で表そうとしても
着目して構成しているので電圧と電流の位相関係については特に注意をしなくても済んだ。 無限大のインピーダンスはプロットできない。
共振回路等ではインピーダンスが無限になる
高周波回路では電圧と電流の積である信号電力で取り扱う。電力が反射すると送ったエネル ことはしばしば発生する。そこで考え出された
のが、直交座標のリアクタンス軸の∞を円の
ギーの一部又は全部が戻ってきてしまうことになる。高周波では反射をなくして信号のエネルギー 形に結んだスミスチャートと呼ばれる表であ +jX
る。このチャートからは
を余すことなく次の回路に伝えることが重要となる。反射をなくすと言うことは送り側のインピーダン 反射係数を読み取ることが出来る。円の
中心が反射ゼロ、外周が全反射となる。高
スと受け側のインピーダンスを合わせることである。 周波では特性インピーダンスが50Ωなの 0
でチャートは50Ω比に換算して(正規化し
・特性インピーダンス B図 LCRが一様に分布した部品 て)プロットされる。
インピーダンスは、
高周波では、ケーブルや同軸ケーブル、コネクタなど信号を
伝送する部品も1つの部品と考えなければならない。これら
信号の伝送線路の性質は特性インピーダンスで表される。 ∞
・伝送路の構造 単位長あたりに一定容量のコンデンサと R 50Ω
一定抵抗が並列に並び、又一定抵抗値の抵抗と一定インダ
クタンスのLが並んでいると考えることが出来る。1つの部品
の形はないが抵抗やコンデンサ、Lが一様に分布した金太郎
あめのような部品と考えられる。線路上の電圧と電流の式か Z = R + jX -jX
ら求めたものが特性インピーダンス Z0で表され次式で定義 で表されるのでそれぞれの項を50Ωで割れば正規化
される。 できる。
又チャートを使用する事により図形からインピーダンス
Z0 = L 特性インピーダンスはケーブルの芯線や取り巻く誘電体等の構造によって決まる の整合が容易に行えるので複雑な計算をしないでも幾
C 単位長あたりのLとCの比によって決まるものである。単位長あたりの値の比から 何学的にインピーダンス整合が可能となる。
決められているのでケーブルの長さによって変わることがない。ケーブルは一部7
5Ωもあるが殆どが50Ωに統一されている。