Page 13 - 第4部応用事例編ver60_Neat
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非接触ICカードの通信インターフェース基本技術
LC共振回路 LC共振回路
共振回路とは? LCによる共振回路には直列共振回路と並列共振回路がある。
動的なエネルギを蓄える素子(L)と静的なエネルギを蓄える
素子(C)との間のエネルギの交換によって共振とか振動と呼
ばれる現象がおこる。
この現象を共振(レゾナンス Resonannce)現象、その回路を 並列共振部
共振回路と呼ぶ。共振により特定の周波数に同調させる事
で、ある周波数のみを選択する同調回路などに使用される。
共振現象が生じると、流入する電圧や電流が何十倍に拡大
されるなど特異な現象が生じるので電子回路の根底をなす 直列共振部
基盤となる回路である。
共振はどうしておこる?
共振現象は、時計の振り子、ブランコ、地震の時の高層ビル
の揺れ、楽器、動物の発声器官など身近なところで接して
いるが、ブランコの例で説明すると
ブランコを最初高い位置に止めておいて離すとあとは一定の
周期で左右に振れて振り子運動を起こす。その状態を考える
と 直列共振回路 並列共振回路
ブランコは、ある一定の周波数で左右に振り子運動を繰り返す。 並列回路に変換等価回路
速度は 一番高いA点とC点では、速度=0
B点では 速度=Max
運動エネルギ A点とC点では エネルギ=0 回路
B点では エネルギ=Max (ωL)2
このようにエネルギが出たり無くなったりするのは R=
r
運動エネルギ + 位置エネルギ = 一定 f0 = 1 f0 = 1 1 − r2 f0 = 1
の、エネルギ保存の法則に従って運動していると 2π LC 2π LC L2 2π LC
考えられる。 共振周波数
LC共振回路の共振 f ≒ 2π 1
図の様なLCによる共振回路(共振周波数1kHz)に、信号源から1kHzの LC
0
周波数のトリガ信号を入れた場合の各部の波形を示す。
①-② 電圧拡大率 Q = ω L = 1 =1 L Q = ω L = 1 =1 L Q = ω0CR = R =1 L
入力信号が印加されると、電流がLで遅れ 電流拡大率 0 ω0Cr r C 0 ω0Cr r C ω0 L r C
ながらCに充電電流が流れてCに電荷が
蓄積される。 r r
②-③
入力信号が減少に転じるがLに蓄積された L,C部の電圧は、印加電圧のQ倍に拡大 L,C部の電流は、流入電流のQ倍に拡大
エネルギによりコンデンサに充電電流を流し続ける。
コンデンサの電圧は入力信号が減少に転じた時 入力信号 Cの電圧 Z =r Z= L
1kHz C⋅r
共振 Z=R
インピーダンス
共振時に最小となる
共振時に最大となる
発生する逆電圧によりさらに高い電圧に充電 Lの電流 共振電流 共振時に最大となる Io = V 共振時に最小となる Io = V
応用 r Q2r
されていく。
共振周波数に等しい周波数成分の
③-④ 選択、取り出し作用を使い特定の
周波数の選別・増幅や特定周波数
入力信号の極性が逆転し逆向きに電流が流 の発振器に応用 共振周波数と等しい周波数の阻止、消去に応用される。
れる。先にコンデンサに充電された電荷が加わっ
てコイルにに流れる。Cには逆向きの電荷が蓄 ① ② ③ ④ ⑤
積される。
④-⑤ 051104 直列共振回路
入力信号が減少に転じるがLに蓄積された 共振経路にR成分があるので入力信号が継続入 ① C1の電荷がL1に流れ込む期間
L1 ② Lの蓄積エネルギからC1を充電
エネルギによりコンデンサに充電電流を流し続ける。 力されなければやがて消滅する。
コンデンサの電圧は入力信号が減少に転じた時
発生する逆電圧によりさらに高い電圧に充電
されていく。
以上の繰り返しで、コイルとコンデンサとの間でエネルギの交換が行われる。 ① ② C1 直列共振回路電流
入力電圧が減少に転じるとき電流を流し続けようと発生する逆電圧と、コイルからコンデンサに電流が流れるときに、
電流を妨げるR成分がないので大きな突入電流が流れこの電流がコイルに蓄積されて、その繰り返しにともない段々と電流、電圧が拡大されていくことになる。