Page 10 - 第4部応用事例編ver60_Neat
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非接触ICカードの通信インターフェース基本技術 ① Φ1(Wb) ② Φ1(Wb) ③ Φ1(Wb)
電磁誘導(変圧器の仕組み)ー1 Φ2(Wb)
①一次コイルに交流電圧を加えると励磁電流が流れ鉄心内に +
磁束 Φ(Wb)が生じる。 + + I1
自己誘導作用により一次コイルの1巻き当たりの誘導起電力 e1
は、次式で表される。 e1 e1
-
- -
e1 = − dφ = −L dI [V ] 励磁電流
dt dt
I1+励磁電 I2
②一次コイルと鎖交する磁束が全て二次コイルに鎖交すると 流 e2
二次コイル1巻き当たりの誘導起電力は一次コイルの誘導
起電力と等しくなる。 e2
e1 = e2 = − dφ [V ]
dt
損失(コイルの抵抗、コアーによる損 二次側の電流が変動すると I1が変
一次コイルの巻き数を N1、二次コイルの巻き数をN2 とすると、一次コイル全部の誘導起 失等)がなしの理想的なトランスとす 動する。
電力E1と二次コイルの全部の誘導起電力E2は、それぞれの巻き数に比例するので次式が ると二次側が開放の場合は励磁電 <参考>
成り立つ。 流だけが流れる。この電流はコイル 負荷変調
に蓄えられたエネルギが電源側に 電磁誘導を利用した通信では、送
E1 = N1e1[V ] 両式より E1 = N1e1 = N1 = n 戻されて電力は発生しない。 信データに沿って負荷電流を変動さ
E2 = N2e2[V ] E2 N2e2 N2 せると一次側の電流I1が変動するの
でI1の変動を検出することにより二
一次誘導起電力E1と二次誘導起電力E2の比は、巻数比に等しい。 次側から一次側に信号を伝達するこ
とができる。
③二次コイルに負荷を接続すると、二次コイルには誘導起電力が誘導されているので二次電流I2が流れ このような伝達の方法を「負荷変調」
と言い近接無線通信として応用され
る この I2[A] の電流が二次コイルを流れることにより 磁界H=NI (起磁力)によっ ている。
て磁束Φ2(Wb)が生じる。このΦ2が一次コイルと鎖交するので一次コイルには、
I2 = E [ A] 磁束Φ2を打ち消すような磁束を生じる一次電流I1が流れる。この I1[A] の電流 二次電流により一次側に発生する
Z 誘導起電力 e は、
が流れることにより 磁界H=NI(起磁力)は、一次側と 二次側で等しくなる。
よって次式が得られる。 H = NI[A / m]
φ2 = B ⋅ A[Wb]
N1I1 = N2I2 より I1 = N2 = 1 B = μ H[T ]
I2 N1 n
A:断面積
一次電流 I1 と二次電流 I2 との比は、巻き線の比の逆数に等しい。 より
④②と③より次式が得られる。 φ2 = μH ⋅ A = μ ⋅ N2I2 ⋅ A[Wb]
E2 = I1 より E1I1 = E2I2 この式から一次側と二次側の電力は等し e = N1 dφ2 = N1 μ N2I2 A [V ]
E1 I2 いことがわかりる。 dt t
変圧器は一次側の交流電力を電圧、電流を変えて二次側に伝える電磁的な結合装置
と考えることができる。